青くてごめんね

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ミュウツー映画、素晴らしかった。

こんにちは、20卒です。90日以上振りの更新になってしまいました。

温めているネタは多々あるのですが、些か熟成しすぎているので、ぼちぼち更新していきます。

 

今回は、1年ずっと楽しみにしていたミュウツー映画の所感を、鑑賞ホヤホヤの勢いそのままに書き綴りたいと思います。

一言でお伝えすると…

…最高でした。

 

原作(劇場版第一作目)について

1998年7月公開の『ミュウツーの逆襲』(以下、便宜的に「無印ミュウツー」とします)は、記憶の奥底にはあったものの細かい設定や展開は失念していました。

“なんやかんやあって諍いの仲裁に入ったサトシが石化し、殴り合っていたポケモン達の涙で蘇生する”という場面しか思い浮かばないレベル(しかもこれはニコ動のネタ動画で使われていたため覚えているという)……あと、深海の中にルギアが…あれ?それは次作…

 

今作がどの程度原作に沿っているかは分からないが、ともかく予習が必要!オリジナルを目に焼き付けたる!と意気込み(歴代の作品を重んじるオタクの習性)、鑑賞前日に無印ミュウツーを見ました。

実質、しっかりと見たのはこれが初かもしれません。そして、

当時キッズ達に人気を博していた作品とは思えないほど、深淵で、難解で、

神、人間、政治、戦争…『この世で何度も繰り返されてきた…破壊と戦いと略奪だ…』『この世で別の命を作り出せるのは…神と人間だけだ…』というサカキの重い言葉、

自身の生と存在理由と価値を自問自答し続けるミュウツーの独白、

ワザを使わず生身で殴り合うオリジナルとコピーのポケモンたち、その彼らを見て『昔の自分を見ているようで/今の自分を見るようで…ヤな感じぃ…』というムサコジ、

…いやぁ、これ、

随分と大人向けですね…!?!

と、感じ入りました。

 

そして、やっぱりサトシカスミタケシの3人はやっぱり良い。やっぱり皆、声にハリがある。やっぱりセル画の何とも言えない厚みは見応えがある…特に、呪縛を解かれたジョーイさんをタケシが抱きかかえ、ミュウツーを見遣るシーンの、一コマずつの視点移動の緻密な作画は何度でも見返したくなるほど…やっぱr(ry

懐古主義オタクになりかけました。端的に良かった。

 

3DCGへの抵抗

今作が3DCGだと知った時、正直に白状しますと、否定を伴った「なんで?」が頭をもたげました。

アニメは、アニメで見たい!2次元を楽しみたい!

という単純すぎる理由ですが、かなりの抵抗感がありました。

『名探偵ピカチュウ』も、ポケモンファンとして抑えておくべき…と思い予告編を見て、生理的に受け付けず断念しました。

偏った考え方を持っているゆえです。自分としては、ポケモンはあくまでポケモン世界で完結していてほしい。この現実とは違う、2次元の中で豊かに広がっていてほしい。

なので、現実とポケモン世界が入り交じるポケモンGOも未だに手を出していません。

『名探偵~』も、現実世界にポケモンがいたら…というそもそもの設定が受け入れられないのと、何よりあのリアルに寄り過ぎているポケモン達が苦手でした。

 

そして、先日何気なく、ポケモンの新作ラインスタンプをチェックすると、

あろうことか…3Dのキャラクター達。

(えっあれ?ああ、スタンプでは独創性出すためにあえて3Dにしてるんだ。珍しい取り組みだなぁ…などと感心したほど(呑気))

ところが公式情報を確認すると、恐れていた事実が。。

 

3DCGでのリメイク。21年ぶりの原点回帰。

『キミにきめた』の原作クラッシュが脳裏を過ぎり、期待と不安が3:7の状態で、鑑賞に臨みました。

 

そして、今作…

本当に素晴らしかった。感動した。

文章にしようとすると「あぁ、いやしかし、素晴らしかったんです」と何回でも繰り返してしまいそうなので、

箇条書きで感動ポイントを列挙します。(※ネタバレありなので、ご注意を)

・原作への敬意、オマージュ、誠意が作品から溢れ出している

:キャラデザ、舞台設定、展開、セリフ等骨子はそのまま。ただ、原作の疑問点や若干引っ掛かる所は修正されていたり。(ニューアイランドを目指すR団の筏が、ラプラスの立派な船になっていたのはいいですね笑)

・21年前と同じキャストの方々、そして皆さんの、歳月の流れを感じさせない若々しいお声! +中途半端な、非声優キャストがいないので作品自体に集中できる

:市村さんはミュウツーの苦悩や理知的な面を巧みに言葉に乗せ、小林幸子さんのボイジャーも変わらず「いいオンナ」像そのまま、驚いたのは山寺さんのあの、ハイトーンボイスに磨きすらかかっていること!感服しました。鳴き声だけでミュウの無垢さと神秘を同時に表現できるのは、山ちゃんだけでしょう。

・3DCGが、いい!

:違和感が無い!!それどころか、いい!! リアルだけどちゃんと世界観を維持しています。許容範囲のデフォルメ。冒頭、島に向かう時皆ずぶ濡れになりますが、その時の濡れ具合とか本当にリアルで、髪や肌や服の感触まで伝わってくるよう。そう、コジロウの髪がサラサラでときめいた。このコジロウモデルのバービー人形売ってそう。というか欲しい。あとタケシがすごくイケメンに見えた笑 斜め後ろからの視点で、タケシの睫毛が映っており、ポケモン鑑賞歴ウン十年にして彼の睫毛を初観測した。いい。あとニャースがフワフワしていて、”毛が3本”抜けるのに説得力がある笑 

あえて気になる点を挙げるとしたら、皆鼻先がツンと前に上がっていて、西洋人の少年少女への憧憬をそこに垣間見てしまったこと(えw)あと、ピカチュウの毛羽立ちがやや強く『名探偵』の名残を感じたこと。くらいです。

 

他にも、ED曲が味わい深かったり、その時の水彩画も一枚絵として保存したいくらい素敵でした。

唯一気になったのは、アイツーちゃんとのエピソードが省かれたことで、ミュウツーの感情や思考の起点が失われてしまったことですかね。(原作では発育段階の子どもミュウツーが、意識の中でアイツーちゃんと御三家コピーと邂逅するものの先立たれてしまう、というエピソードがあります。この挿話により、<消えたー死んだ皆、生き残っている自分>ーなぜ生きるのか?という問いに深みが出ると思うのです。)

 

それはさておき、今作の最大の功績は、「原作をほとんどそのまま活かしフル3DCG化したことで、原作の価値を再認識させた」ことだと、感じています。

驚くほど無印ミュウツーと相違ありませんでした。それでも、観てよかったと心から思いますし、もう一度鑑賞したいくらいです。

それは、3Dの映像美ももちろんあると思いますが、繰り返しの鑑賞に耐えうる原作の味わい深さ、が最たる理由ではないでしょうか。

<いつものサトシ一行が、ひょんなことから争いに巻き込まれ、思いの強さで一件落着>という分かりやすい構成、そして、旅している→島に向かう→その先で事件が起き、収束させる という風に、場面も流れも単純です。

しかしながら、90分間で飽きが来ない。ハラハラドキドキ、派手な演出でひたすら目を引きまくるという訳でもないのに。

シンプルだからこそ、ミュウツーの抱える自問自答ー「なぜ生きるか」「なぜここにいるのか」、人間と生き物(ポケモン)、オリジナルとコピー、という、この世に共通とも言える命題が浮き彫りになり、鑑賞者の心奥を照らし出す。そしていつの間にか、自分に似た相手を苦しみながら殴打し続け、当たり前の自己存在に疑問を持つミュウツーに感情移入している。痛みと苦悩の先に、答えを見出したくなる。

…のだと、思います。

(※無印ミュウツーがなぜこんなに考えさせる作品なのか、は、脚本の首藤さんご自身が詳しく記述されています。http://www.style.fm/as/05_column/05_shudo_bn.shtml やはりこの作品の裏には、計り知れない労力があるんですね…。)

 

 

いつの間にか3000字を超えてしまいました。

長文になってしまいましたが、本当に今作は素晴らしかったです。