青くてごめんね

書きたいことをね、自由に書きます

銭湯〜場と服装の関係〜♨

閑話休題。就活ブログの様相を呈して来ましたが、どうしても記憶が薄れる前に書きたいので突然の日常記事です。すみません。

(スターを付けて下さったり、読者登録して下さってる方々本当にありがとうございます。正直すごく嬉しいです)

 

 

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巷でサウナが流行っている。なんでも、体を温め汗を流すことで新陳代謝アップ、自律神経を整え体の巡りを良くし、冷え症改善には勿論美肌効果もあるのだとか。。

万年、手足の冷えを感じており体中浮腫体質、かつ毛穴には黒ずみだらけという欠陥の塊であるこの身体、もしかして自分に足りないものはサウナなのでは?という確信を得、すぐに近場のサウナを探し突撃したのであります。そもそも銭湯に必要な持ち物すら危ういほど未熟者で、勿論「初心者 サウナ 心得」でグーグル先生の叡智に授かって向かいましたよ。ええ。初心者は熱が比較的弱い下段がよいということや、座るものであるから尻に敷くタオルはマナーとして持つべきであるということも、しっかりチェック致しました。

 

秘密基地に向かうような期待と不安が綯い交ぜになった心持ちで向かった先は銭湯。おお。こんな所に。。大通りから一本入ったすぐの所にありました。

玄関では一足先に湯浴みを満喫した客が、心做しか満足げな表情で銭湯を後にするじゃぁありませんか。私もきっと一時間後、あんな緩んだ口角で颯爽と自動ドアーを抜けていくのだわ。

 

しかし、仕組みが分からなすぎる。チケットを払うのか、先に荷物を置くのか、いや男女別の湯の近くで支払いをするのか? 挙動不審にチケット売り場を右往左往していても、受付の妙齢女性は一切関与する素振りを見せず。恐る恐る、電子マネー支払いはどこで行えば良いのか下手に出て聞くと「どの?」『えっっ、と、、、?』「電子マネーっていっても、ホラ、色々あるでしょう? どれですか?」 謎の不機嫌さを押し付けられそんなに電子マネーを嫌がらなくても、と思いながらも、なんとかチケット支払いを済ませ、脱衣所へ。

 

あぁ、久々の感覚。。。飛び込んでくるのは他者の裸体。日常と非日常の境目がここ、脱衣所なのである。同世代の人との合宿等であれば、もしかしたら下着に手をかける瞬間の躊躇いがあるかもしれない(筆者は大いにそうであった)が、老いも若いもごった煮、赤の他人だらけのこの空間では、私自身の裸に羞恥心を覚えるのは他でもない私だけなのである。つまり自他の間の関係性は希薄であり、そこに服を脱ぐ―脱がないという着脱の境界線は有って無いようなものなのである。

そう考えていると、早くサウナーデビューしたいという気持ちが高まってきて、恥じらいなど感じるのも惜しく、バタバタと浴場へ。

 

 

そこからはまぁ、久々の銭湯を体験できてよかったというところ。コロナ流行が日夜叫ばれる中、接触感染待ったなし、いや感染症などクソくらえという衛生環境である。何しろ、裸体である。我々を守るものは何もない。だが、誰がどういうタイミングで腰掛けたか分からない露天風呂近くの椅子、汗か何かが染み込んだサウナの敷タオル、それらの何が怖いというのだろうか?いや、もう何も怖くない。

 

 

しかし、当然のごとく裸である。私も裸、隣の子供連れの母親も裸、その奥の年月の蓄積を感じる妙齢女性も裸、その向かいで静かに石鹸を泡立てているうら若い乙女も裸、やはり私も裸である。風呂に浸かり、目元にタオルを当てて脱力している裸体。サウナでは、皆が無心になり体温上昇と血流循環を裸体で受け止めている。裸体。顔面の下、服に隠されている裸体。肩。腕。乳房。腹。股間。脚。しかし、今更のように、私のようにこの裸体の人間で満たされた空間の奇異性に価値観の捉え直しを迫られている人は他にいないようであるし、彼女たちは恐らく日常生活の中に銭湯が組み込まれているのであろう。

 

しまった、脇毛の剃り残しがあった…

 

 

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裸が恥ずかしければ服を着る。しかし、身体自体へのアプローチが主眼である浴場において、服は不要な要素であるというより脱ぐべきものである。ここでは、服を着ていることがおかしいのである。

しかし、ひとたび浴場から抜け出し脱衣所へ舞い戻り、その先の休憩スペースまで強行突破し、さらに銭湯の出入り口から先の舗装された道へ裸体で歩を進めてしまうと、それは正気の沙汰ではなく非常識であり犯罪行為である。我々は気付かなければならない。<脱衣所で服を脱ぎ、そして必ず、服を着て元の世界へ戻るように>

 

――と、いうことを露天風呂近くのベンチで、無理に元を取るため、そして華々しいサウナーデビューを飾るため入った3度目のサウナの、過剰な熱を冷ますべく動悸を鎮めている最中に考えた。

浴場で服を着ていないのは正しい。電車内で服を着ていないとおかしい。浴場で服を着ていたらおかしい。ここにおけるおかしい、とはルール違反に値する。

脱衣所で着脱の境目の脆弱性に気付いたことも踏まえると、我々は両者を容易に行き来できるわけであるが、しかし、その選択を誤るわけにはいかないのである。プライドと世間体をかけて。そして、我々は当然のように正しく選択を下し、然るべき時に服を着るし、その逆もまた然り。

我々は、他者と生きる中で生じる倫理規範、道徳、社会的通念を無意識に察知して、それを守ることをストレスに感じず、むしろ守っていることすら忘れて、当然のように社会的人間として生を全うしている。

 

 

のだと、気付かされた2時間であった。

 

 

 

のぼせた…

 

 

 

 

P.S.サウナ初心者にも関わらず、スペースが空いていなかったという単純な理由で最上段での修行を強いられた結果(まぁ元を取ろうと3度も行ったのがよくないのだが)、その日強烈な胃痛に襲われ(運動不足な筆者の身体にとってはかなりの負担だった様子)、悶ながら眠った。そして悪夢を見た。

サウナー適性は無に等しいようだ。